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木嶋佳苗が「なぜ人気なのか」といわれる背景には、複数の男性と交際していた過去、3度の獄中結婚、拘置所から発信するブログ、そして事件を題材にした文学作品への関心があります。
なかでも興味深いのは、逮捕後も木嶋に関心を寄せる人が現れ、結婚に至る男性までいたことです。
ただし、事件への好奇心や文章への評価が、必ずしも本人への支持を意味するわけではありません。実際の裁判や当事者への取材、報道をもとに、その背景を整理します。
木嶋佳苗はなぜ人気?注目される理由は主に4つ
木嶋佳苗への関心は、事件が発覚した2009年から現在まで、さまざまな形で続いてきました。
大きく分けると、次の4つの背景があります。
- 婚活サイトで知り合った複数の男性と交際し、金銭を受け取っていたこと
- 逮捕後も男性との関係を築き、3度の獄中結婚を経験したこと
- 拘置所からブログを発信し、独特の文章や生活へのこだわりが関心を集めたこと
- 事件に着想を得た小説『BUTTER』などを通じ、新しい世代にも知られるようになったこと
ここで区別したいのは、男性との交際関係と、事件後に生まれた世間の関心です。
前者は実際の人間関係に関する話ですが、後者には事件への疑問、社会的な議論、文学作品への興味も含まれます。
木嶋佳苗はなぜ多くの男性と交際できたのか?
木嶋佳苗は、2009年に発覚した首都圏連続不審死事件で知られる人物です。
婚活サイトなどで知り合った男性たちから金銭を受け取り、そのうち3人を殺害した罪などに問われました。2012年にさいたま地裁で死刑判決を受け、2017年5月に死刑が確定しています。木嶋は殺人について一貫して無罪を主張していました。
事件が大きく報じられた際、世間では、なぜ複数の男性が木嶋と親密になり、多額のお金を渡したのかという疑問が生まれました。
男性を肯定する言葉や会話
2025年3月5日放送のフジテレビ系『奇跡体験!アンビリバボー』では、裁判を傍聴していた作家の北原みのりが、木嶋の人物像について証言しています。
北原によると、木嶋は男性の持ち物や行動を否定せず、肯定的な言葉をかけることがあったそうです。相手が関心を持つ音楽や料理などの話題を会話に取り入れていたとも説明しています。
相手の長所を認める態度や、関心のある話題を共有することが、親密な関係を築くうえで働いた可能性があります。
ただし、これは裁判を傍聴した北原による見立てであり、交際していたすべての男性が同じ理由で木嶋に好意を抱いたと確認されたわけではありません。
出典:フジテレビ『奇跡体験!アンビリバボー』2025年3月5日放送
料理や結婚後の生活を通じたアプローチ
木嶋は料理へのこだわりでも知られています。
逮捕前のブログには、料理学校に通っていたことや、食事、高級品などを楽しむ生活が記されていました。
婚活サイトでは、音楽を学ぶ大学院生だと偽り、卒業後の結婚をほのめかして学費などの名目で金銭を求めていたことが報じられています。
将来の結婚生活を思い描かせる言葉や、料理に関する知識が、相手との関係を深める材料になった可能性はあります。
ただ、料理上手だったから男性がだまされた、と単純に説明することはできません。婚活という出会いの場で虚偽の説明を用い、金銭を求めた行為そのものが重要です。
外見だけでは説明できない人間関係
当時の事件報道では、木嶋の容姿と交際相手の多さを結びつけた報じ方も目立ちました。
しかし、交際相手が何に魅力を感じるかは人によって異なります。見た目だけを理由に、男性が木嶋と交際したことを不思議がるのは、そもそも適切な問いとはいえません。
2025年9月のニューズウィーク日本版も、この事件では犯罪の内容だけでなく、女性の容姿に関する社会的な固定観念が報道に影響したと論じています。
木嶋佳苗が3度も獄中結婚できた理由は?
事件発覚後の木嶋への関心を語るうえで、特に大きな出来事が3度の獄中結婚です。
拘置所に収容されてからも男性との関係が生まれ、実際に結婚に至ったことは、多くの報道で取り上げられました。
最初の2人は支援者と逮捕前からの知人
2015年、木嶋は支援者の男性と最初の獄中結婚をしました。しかし、約1年半で離婚しています。
その後、逮捕前からの知人だった男性と2度目の結婚をしましたが、この結婚も離婚に至りました。
拘置所にいる人物との結婚では、通常の夫婦とは異なり、面会や手紙が主な交流手段になります。
相手が死刑囚の場合、死刑確定後は家族や弁護人などを除いて外部との連絡が厳しく制限されます。そのため、支援者などが面会や連絡を続ける目的で婚姻や養子縁組を選ぶ場合もあると、長年死刑囚の取材を続けてきた篠田博之は説明しています。
もっとも、木嶋の結婚について、こうした制度上の事情だけで個々の男性の気持ちを説明することはできません。
3度目の結婚相手は週刊新潮の担当デスク
特に世間を驚かせたのが、2018年1月の3度目の獄中結婚でした。
相手は、木嶋の取材を担当していた『週刊新潮』のデスクです。2人は取材を通じて知り合い、面会や手紙によって交流を重ねていました。
フジテレビの番組で紹介された過去の取材では、この男性は、言葉のやり取りを楽しむうちに木嶋との関係を続けたいという思いが強くなったと説明しています。
一度も拘置所の外で一緒に生活したことがない相手と、会話や文通を通して結婚に至ったという経緯です。
事件取材という仕事上の関係から始まっただけに、この結婚は報道のあり方という面でも議論を呼びました。
なお、3度の獄中結婚については、2025年の週刊文春による特集や、関連するノンフィクションでも取り上げられています。
拘置所から発信するブログはなぜ読まれるのか?
木嶋佳苗への関心は、交際や結婚に関する話題だけではありません。本人の文章を読み続ける人がいることも特徴です。
料理から拘置所の日常まで幅広い内容
木嶋は逮捕前からブログを書いており、その後も外部の協力を得ながら発信を続けてきました。
「木嶋佳苗の拘置所日記」では、食事や日常生活、社会への意見、報道に対する反論など、さまざまな話題が扱われています。
2025年にも記事が掲載されており、拘置所での生活に関する内容だけでなく、自身を取り上げた報道や書籍への批判も記されています。
事件報道から想像する人物像と、本人が書く日常的な文章との違いに興味を持つ人もいるのでしょう。
文章は本人の考えを知る手がかりになりますが、ブログに記された主張がすべて客観的な事実であるとは限りません。本人の説明と、裁判で認定された事実は分けて読む必要があります。
文章への興味と本人への支持は違う
ブログへの評価には、拘置所という一般には知られていない環境への関心や、事件当事者が自分の言葉で何を語るのかを知りたいという好奇心も含まれます。
木嶋の文章に引き込まれることと、木嶋の行為を肯定することは別です。
文章を評価する人、事件の真相を調べる人、主張に反論するために読む人もいるため、ブログの閲覧数だけで本人の人気を判断することはできません。
木嶋佳苗には女性ファンもいた?「佳苗ガールズ」とは
木嶋への関心は、男性だけに限られていたわけではありません。
作家の北原みのりは、裁判を傍聴するようになった同世代の女性たちを「佳苗ガールズ」と呼んでいました。
2025年放送の『奇跡体験!アンビリバボー』では、木嶋の堂々とした態度や、人にどう見られるかを過度に気にしていないように映る姿に関心を寄せた女性がいたことも紹介されています。
裁判中の服装や話し方、視線なども、傍聴者の間で話題になったそうです。
こうした女性たちが全員、木嶋の行動を支持していたわけではありません。事件の内容とは別に、その振る舞いや、女性に求められる役割との関係に興味を持つ人がいたと捉えるほうが正確でしょう。
小説『BUTTER』の世界的ヒットで再び関心が高まった
近年、木嶋佳苗事件を改めて知るきっかけの一つになっているのが、柚木麻子の小説『BUTTER』です。
この作品は、実際の婚活連続不審死事件に着想を得たフィクション。女性記者と、殺人事件の容疑者である梶井真奈子との交流を通じて、食欲や女性の生き方、容姿への偏見などを描いています。
『BUTTER』は海外でも大きく売れ、2026年7月に河出書房新社が発売した特装版の紹介では、世界40か国・地域で翻訳され、累計200万部を突破したと発表されています。
作品が広く読まれたことで、モデルとなった事件への関心が改めて生まれたと考えられます。
ただし、小説の梶井真奈子と実在する木嶋佳苗は同一人物ではありません。『BUTTER』は事件記録ではなく、現実の出来事から着想を得た創作です。
木嶋自身も、作品に描かれた人物像が現実の自分とは異なるとして、ブログなどで批判しています。
木嶋佳苗は現在も人気なのか?
2026年現在も、木嶋佳苗の事件を取り上げた記事や書籍は存在し、ブログも公開されています。
2025年にはノンフィクション作家の石井妙子による連載『ウェンカムイ 死刑囚・木嶋佳苗の生痕』が完結。2026年には『BUTTER』の文庫版や特装版も刊行されました。
事件から長い年月が経った今も、人物像や事件の背景が継続的に取り上げられていることは確かです。
ただし、現在どれほどの支持者がいるのか、過去と比べて人気が増えているのかを示す客観的な数字は確認できません。
木嶋が人気なのかという疑問に対しては、本人を支持する人が多いと一括りにするのではなく、複数の男性との交際、獄中結婚、本人の発信、文学作品など、それぞれ異なる理由で関心が集まってきたと考えるのが適切です。
その一方で、この事件では3人の男性が亡くなり、裁判で木嶋の殺人が認定されています。人物への関心が続いていることと、事件の重大性は、切り離さずに考える必要があります。

